発表会の曲、どう選ぶ?

たなかピアノ教室では2年に1度、3月か4月の春休みの時期に発表会を開いています。
ソロ曲、連弾曲の2曲を弾くので(1曲もありです)、余裕を持って1年前から選曲に入ります。
発表会はピアノ教室にとってとても大事なイベント!
生徒さんがグン!と力を伸ばす絶好の機会であり、
またお家の方に成長したお子様の演奏を聴いていただく大切な場所でもあります。
そのために曲選びはとても重要です。
レベルに合った曲で、更に生徒さん一人一人にとって特別であることが大切と考えています。
特別好きな曲、特別気持ちを込める事ができる曲、特別やる気が出る曲!
様々な意味での特別な曲を生徒さんと話し合いながら選びます。
~Hちゃん〈中2、女子〉の場合~
Hちゃんは保育園の頃から通いはじめ、これまでにたくさんの発表会、コンサートグレード、クリスマス会に参加してくれました。
宿題をきちんとこなす、がんばり屋さんの生徒さんです。
普段のテキストが順調に進んでいるので、中学生ともなればクラシックの名曲と言われる素敵な曲に手が届く頃です。
しかし華やかな発表会向きの曲は普段のテキストより難しそうな音が並んでいて、
「無理・・」
と感じるようです。
そこで今回は華やかさや格好良さより、Hちゃんの琴線に触れる曲を提案してみようと考えました。
メロディーやハーモニーの美しい曲を3~4曲提案したところ、
Hちゃんはドビュッシー作曲、「月の光」を選びました。
「Hちゃん、気に入るかも。でも譜読みが難しいな・・・」
私としては迷いつつ提案した曲でした。
ドビュッシーはフランスの作曲家。
今までたくさん弾いてきた練習曲とは異なる手法で書かれている部分がたくさんあります。
つまりテキストのブルグミュラーがドイツ語なら、ドビュッシーはフランス語なのです。
Hちゃんは中学校で運動系の部活に入り、時間と体力に余裕がある訳ではありません。
私は納得して取り組んでもらえるように「月の光」の魅力と難しさについて説明しました。
魅力と難しさは表裏一体です。
同時に雰囲気が似ている、少し易し目の曲も提案しました。
2週にかけて相談した結果、Hちゃんは
「月の光を弾く!」
と決めたのでした。
長い間レッスンを重ねてきた中ではじめてのHちゃんのチャレンジです!
Hちゃんの中に音楽への憧れが育っている事を感じ、私はとても、とても嬉しく思いました。
Hちゃん、譜読みは難しいけれど一緒にがんばりましょう!
発表会で素敵な月の光を響かせてね♪
~K君〈小3、男子〉の場合~
K君は保育園の頃から通ってくれている元気一杯の男の子です。
はじめたての頃はじっとしている事が辛そうでしたが、
リトミックで体を動かしながら、ピアノも同時に進めてきました。
自衛隊のブラスバンド・コンサートを聴いて、
「すごかった!!」
と目を輝かせて話してくれた事がありました。
私がK君の好きなポピュラー曲を演奏した時には、瞳を潤ませながら聴いてくれました・・・!
こちらが感動です・・・!
K君は感受性の豊かな、音楽が大好きな少年なのです。
音楽の好みもはっきりしているK君、テキストの中には気に入らない曲もあります。
特に好きではない、難しい曲の時には不満そう・・・。
この時期のテキストにははじめての音域、はじめての奏法が次から次へと出てくるので、
いつも難しさを感じてしまうのは無理もない事です。
しかしこの時期を乗り越えないと好きな曲を自由に弾けるようにはなりません。
だから何とかがんばって・・・!
いつもそう願いながらレッスンを重ねてきました。
そんなK君も小学3年生になり、両手奏にもだいぶ慣れてきました。
いよいよ今回の発表会ではK君の好きな曲に挑戦できそうです!
K君と一緒に選んだ曲は「君をのせて」。
久石譲作曲、ジブリ映画「天空の城ラピュタ」のテーマソングです。
曲も映画も大好きだそうです♪
はじめてのポピュラーソングです。
ポピュラーソングには普段のテキストにはない難しいリズムがたくさん出てくるので、少し心配でした。
しかしK君は難しい部分もお家で練習して、さらに先の楽譜もどんどん弾いてきてくれます!!
幼かったK君がレッスンを少しずつ積み重ね、
自分の弾きたい曲を弾ける力を身に付けたのです。
K君の成長を心から誇りに思います。
またお家の方のご協力にも深く感謝しています。
お家の方の励ましや、見守って下さる眼差しがあってのK君の成長です。
K君、素敵な曲はまだまだたくさんありますよ。
これからも音楽を楽しんでいる姿を見せてね。
発表会での「君をのせて」楽しみにしてますよ♪